「かしこまりました」

錑はすぐに私の行方を血眼になって捜したが、
全く情報が無く、悪戯に時間だけが過ぎた。




その頃私は海に囲まれた孤島にいた。
ゆかりさんに貧血の薬を続けるように言われていたが、それどころではなかったので、すっかり忘れていた。
時々めまいがして立っていることが辛く、薬飲まなくちゃと思い始めていた。

急にめまいが襲いその場にへたり込んだ。

「大丈夫ですか?」

私を支えて気遣ってくれた男性がいた。

「すみません、ご迷惑をおかけして」

「急に立ち上がってはいけません、僕は北山健志と言います、医者です、僕の診療所はすぐそこですから」

北山先生はそう言うと、私を抱きかかえて診療所まで運んでくれた。
簡単な血液検査をして、結果が出るまでベッドで休むように促された。

「貧血だと思われますので、この薬を飲んで安静にしててください」

「ありがとうございます」

「出来れば、東京の設備の整った病院で、ちゃんと検査をした方がいいと思いますよ」

「以前働いていた会社の医務室でも言われました」