「錑ったら、駄目ですよ、ちゃんとお仕事してくださいね、社長」

「みゆ、有給取ってこっちへ来いよ」

「何言ってるんですか、無理です」

「そうか、じゃあ、帰ったら寝かせないから覚悟しておけよ」

「はい」

「じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」

私は涙を堪えながら頑張って会話を続けていたがスマホが切れた途端、大声で泣いた。









荷物を片付けた。
殆ど錑に買って貰ったものばかりだから、置いていこう。
キャリーバックに必要なものを詰めて、スマホを置いて朝になってから部屋を出た。

「みゆ様、おはようございます、ご旅行ですか?」

「あ、はい、社長が出張中なので、友達と旅行に行こうかと計画しました」

「楽しみですね、どちらにご旅行ですか?」

「行き先は決めていません、行き当たりばったりで……」