「お疲れ様です、これお願いします、デスクは片付けてあります」

「立木さん、社長に相談した方がいいんじゃないか」

「錑、あ、いえ、社長に迷惑かけたくないんです」

「仕事まで辞める必要はないと思うが……」

「麗子さんの気持ちを考えると、当たり前の判断だと思います」

高城さんは私に掛ける言葉が見つからず、仕方なく退職届を受け取った。

「大変お世話になりました、ありがとうございました」

「こちらこそ、永い間お疲れ様でした」

「失礼します」

私は秘書室を後にした。

マンションに戻ると、コンシェルジュの横尾さんが挨拶をしてくれた。

「みゆ様、お帰りなさいませ、随分今日は荷物がありますね、部屋までお持ち致しましょう」

「ありがとうございます、でも大丈夫です」

私はエレベーターで部屋に向かった。
直後錑から電話があった。

「みゆ、お疲れ、今何処だ」

「お疲れ様です、ちょっと残業していたので、今マンションに着きました」

「そうか、まだ一日しか経ってないのに、もうみゆを抱きしめたいよ」