「何も聞いてないんですか?このままだとみゆ先輩、社長と不倫関係になっちゃいますよ」

こんなに早く別れが訪れるなんて、私は心ここにあらずの状況だった。

「社長に連絡取れないんですか?」

「そんな事出来ないよ、プロポーズされたわけじゃないのに、なんて言うの?結婚相手として付き合っているつもりじゃ無いなんて言われたら立ち直れない、怖くて聞けないよ」

私は小刻みに震えていた。
やっぱりこうなっちゃうんだ、なんで私錑の事信じたんだろう、バカみたい。

「総務部に戻ろう?仕事しなくちゃ」

私は二階堂くんと総務部に戻った。




そこへ社長秘書の高城さんが私を迎えに来た。

「立木さん、お客様が見えてる、応接室へいいかな」

「えっ、私にですか?」

会社に訪ねてくる客など、全く検討がつかなかった。
私は応接室に向かった。

「失礼します」

そこにいたのは宇佐美不動産ご令嬢の宇佐美麗子さんだった。

「はじめまして、宇佐美麗子です、立木みゆさんですよね?」