錑は今日から一週間の出張に出掛けることになった。

「一週間もみゆに会えないなんて、仕事どころじゃないな」

「そうですね」

私は寂しくて涙が溢れた。
涙を悟られないように下を向いていた。
錑は私の顔を覗き込んで、涙を拭ってくれた、そして頬にキスをしてくれた。

「みゆ、出張にみゆを連れてっちゃおうかな」

「駄目ですよ、お仕事なんですから」

「じゃあ、ちゃんと留守番してろ、いいな」

「大丈夫です」

と言ったが明日から錑がいない生活は、たとえ一週間でも寂しくて涙が溢れた。

「みゆ、全然大丈夫じゃないじゃないか」

この時初めて私から錑に抱きついた。

「みゆ?」

「ごめんなさい、私、錑を困らせてますね」

「いいな、その呼び方」

「あっ、すみません、社長」

「いいよ、錑で、これから夜はもちろんだが、昼間も錑と呼べ、いいな」

「はい」

そして錑は出張に出かけた。