この時暗い影が忍び寄ってきていることに気づくことが出来なかった。









その日、仕事から錑のマンションに戻ると、コンシェルジュの横尾さんが迎えてくれた。

「お帰りなさいませ、みゆ様」

「いつもありがとうございます」

「いえ、桂木様に頼まれておりますので、無事にお帰りくださり安心しました」

私はエレベーターで錑の部屋に向かった。
部屋に入ると、私が使ってと言われた部屋に荷物が運び込まれており、クローゼットには新しい服も増えていた。

今日は錑は仕事で遅いと連絡があった。
ご飯作っておこうかな?
冷蔵庫を開けると食材が揃ってる、錑にはじめて作る食事は和食にしようと決めた。

龍司も美味しいって言ってくれたっけ、錑は美味しいって言ってくれるかな?
このまま幸せは続くのかな、駄目、ショック受けないようにその気になっちゃ駄目。
私は自分に言い聞かせた。

その時スマホが鳴った。