「みゆ、開けてくれ」

「龍司、今開けるね」

私はドアのチェーンを外し、ドアを開けた。

「一人?入ってもいいかな」

「どうぞ」

「みゆ、この間のプロポーズだけど、僕は本気だから……」

「龍司」

「あの時は社長になっていなかったから周りに振り回されてた、みゆと別れて役員達の薦めの女性と付き合ったが、みゆを忘れられなかった、だから早く社長になってみゆを迎えに行こうって決めたんだ」

私は龍司の優しさに心が動きそうになった、錑のことがあり、涙が溢れて止まらなくなった。

「みゆ、何かあったのか?」

龍司は私の泣いている顔を見つめ抱きしめた。

「僕がみゆを幸せにするから、僕についてきてくれないか」

「少し時間をちょうだい」

「わかったよ、みゆ、また来るから」

龍司はアパートを後にした。

次の日私は早く会社に着いた、溜まっていた仕事を片付ける為だった。
コピー機の前で仕事をしていると、後ろから抱きしめられた。