「可愛くなんかないです、社長はきっと飽きちゃいますよ」

「飽きないよ、ずっとみゆを好きだよ、だからスマホ持っててくれ、わかったな、それに前にも言ったが、俺に惚れさせて見せる、俺を好きになれなければ、その時はスマホは回収するよ」

私は既に社長を好きになっていた、社長の言葉を信じてついていけたならどんなに幸せだろうか、でももう傷つきたくない、社長が私をずっと好きって、どう考えてもありえないよ。

「早速、デートしよう、飯食いに行こうぜ」

「えっ、デート?これからですか?」

「そう、早く支度して」

社長とご飯を食べに行くことになった。




車にエスコートしてくれたその時、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「みゆ」

声の方に視線を向けると、そこには龍司が立っていた。
橘 龍司、三十九歳、かつて私が愛した男性、橘不動産の御曹司である。

「龍司」

「みゆ、迎えに来たよ」

「えっ?」

「社長になって仕事も軌道に乗ってきた、やっと僕の言うことが通るようになった、みゆ、結婚しよう」