「それなら俺を起こしてくれればいいだろう、そんなに俺は信用ないのか、頼りないか?」

「そんなことはないですけど、ご迷惑かと思ってわがまま言えないですし……」

「みゆのわがままならいくらでも聞いてやるよ」

社長は安堵の表情を私に向けた。
ヤバイ!かっこいい、このままじゃどんどん好きになっちゃうよ、どうしよう。

「そうだ、これ」

社長は紙袋に入った物を私に手渡した。

「なんですか?」

「スマホ、俺との連絡用の」

「私は大丈夫です、必要ないので」

「俺が必要なんだよ、不便で仕方ねえ、だから持ってろ」

「でも……」

「俺の名義だから何も心配しないで大丈夫だ」

「困ります、あの、受けとれません」

「社長命令だ、わかったな、今晩電話する」

「あっ、はい」

私は渋々スマホを受け取った。

うちに帰り、スマホを開けてみる。
よくわからない、私は特に機械オンチで、だからスマホは持たなかったのに……