「そうだね」

「みゆ先輩、社長と付き合っているんですよね」

「えっ、どうしてそれを」

私はビックリして戸惑ってしまった。

「社長から聞きました、結婚したいからプロポーズするって」

「それ、いつの話?」

「会長がお亡くなりになった後、全社員に向けて社長が挨拶されて、その時、私と二階堂くんが呼ばれて、みゆ先輩と結婚するって話してくれたんです」

「そうだったんだ、会長がお亡くなりになったと連絡があって、社長は一人で東京へ戻ったの、その後いろいろあって、一旦社長と別れようって決めたんだけど、ある人から社長が私を迎えに行く為、奮闘しているから信じて待ってるようにと言われて、でももう三ヶ月も経ってるのに、連絡もなくて、また騙されたんじゃないかって、思い始めてしまったの」

「そうだったんですか」

「今まで、私と関わった男性は全て私の前からいなくなっちゃう、信じられなくなる私の気持ち、わかってくれるよね」

「わかります、社長が何を考えているか理解出来ないですけど、社長はみゆ先輩を裏切る事はしないと思いますよ」

友紀ちゃんは真剣な眼差しで答えてくれた。

もう一度、錑を信じてみようかなと心が溶けて行く感じがした。

「友紀ちゃんありがとうね」

私は友紀ちゃんのアパートに一晩泊めてもらい、錑のマンションへ向かった。