「ご無沙汰しています、おかげ様でなんとか桂木ホテルリゾートは持ち直しました」

「そうか、それはよかった、みゆちゃんは迎えに行ったのか?」

「いえ、俺がいなくても健志の元で元気に暮らしているのであれば、わざわざその幸せを壊す権利は俺にはないのではないかと……」

「そうか、ならわしがみゆを迎えに行くぞ、もう今後一切みゆのことは忘れてくれ」

「それは出来ません」

「わしでは不服か、健志とやらならみゆを任せられると言うのか?」

「そうではありません、みゆを忘れる事は出来ないと言う意味です」

俺はこれから先、みゆに辛い思いや苦しい思いをさせる事は出来ないと思っている。

だから迎えに行く事に躊躇しているのが事実だ。

でもみゆを忘れることなど出来ない、

「みゆが今、与那国島で過ごしている事がみゆに取って幸せなのか?桂木くんの側にいる事はみゆに取って不幸なのか?」

「これから先、桂木ホテルリゾートを存続させながら、東城氏にお借りした金を返す事は容易いことではないと思っています、俺の側にいて幸せな日々を送れるとは到底思えません、そんな苦労をする事がわかっているのに、迎えに行く事は俺の身勝手ではないでしょうか」

「わしも当時みゆの幸せを考えて、みゆの前から姿を消した、桂木くんの気持ちは理解出来る、しかし、それは間違っていたんだ」

「どう言う事でしょうか」

東城氏はゆっくりと言葉を続けた。