「みゆちゃんに振られたと言っていたよ」

私は麗子さんと結婚することが桂木ホテルリゾートを守る事だと思っていたから、錑との別れを決意した、でもそうじゃなかった、慎太郎さんの気遣いで私との結婚が条件だったなんて、そんな事も知らずに私は錑を愛していないなんて酷い言葉を錑にぶつけてしまった。

「みゆちゃんの本心が北山先生にあるのなら、会社を守るために自分を犠牲にして桂木くんとの結婚を選ぶだろうと言っていた、だから何も告げずにみゆちゃんの本心を確かめたと言っていたよ、桂木くんを振ったのは本心じゃないね」

私は涙が止まらず、でも、慎太郎さんには本当の気持ちを伝えた。

「錑を愛しています」

私の言葉を聞いて、北山先生はその場から離れた。

「私、錑の元に行きます」

「待つんだ、みゆに振られたから約束は出来なくなったと、わしの元にやって来た後、みゆをどうしても諦められないから、会社を立て直す資金を貸して欲しいと頭を下げに来た」

「錑」

「会社が持ち直せば、堂々とみゆにプロポーズ出来ると、それでみゆが北山先生を選ぶのであれば、その時はみゆを諦めると言っていたよ」

「あのう、私からもお願いします、錑にお金を貸してあげてください、私も働いて錑と一緒に返します」

私は慎太郎さんに頭を下げた。

「みゆ、頭をあげて、心配しなくてももう金は貸したよ」