東城ホールディングス会長、東城慎太郎だ。

「あのう、立木みゆさんはこちらにいらっしゃいますでしょうか」
私は振り向くとそこには慎太郎さんが立っていた。

「みゆ、元気だったかい」

「慎太郎さん」

私は思わず駆け寄り、慎太郎さんの胸に飛び込んだ。

暖かな温もりを求めている子供のように……

「病気だと聞いたが大丈夫なのかい?」

「はい、北山先生のおかげでだいぶ良くなりました」

そこへ北山先生が挨拶しようとして近づいて来た。

「はじめまして、当診療所の医師で北山と申します」

「わしは十年前にみゆちゃんに助けられた年寄りです、東城ホールディングスの東城慎太郎と申します」

「慎太郎さんどうしてここがわかったんですか」

「桂木くんに聞いてな」

「錑に会ったんですか」

「ああ、彼がわしを訪ねて来てな、わしと桂木会長、つまり彼の父親は古い友人なんだ」

私はビックリして息を飲んだ。

慎太郎さんと錑のお父様が古い友人だったなんて……