「承知しています、いろいろとありがとうございました」

「どうするんだ、宇佐美不動産のご令嬢とやらと結婚するのか」

「いえ、他の手立てを考えます」

俺は東京に戻った。

それから俺は何の解決策も見出せずに毎日酒を煽っていた。

そこにゆかりがやって来た。

「錑、何やってるの、お酒飲んでる場合じゃないでしょ?」

「もうどうでもいいよ」

次の瞬間ゆかりの平手打ちが飛んできた。

「桂木ホテルリゾートの全社員を見捨てるの?会長の代からずっと桂木ホテルリゾートを支えてくれた役員、蓮が社長就任してから蓮を信頼してついて来てくれた社員を路頭に迷わす気なの?しっかりしなさい」

ゆかりはキッチンに向かうと、コップに水を汲み俺に差し出した。

俺に水を飲んで酔いを覚ませと言うことかと手を差し出すと、次の瞬間、そのコップの水を俺の顔目掛けてかけた。

「何するんだ」

「目が覚めた」

いつもゆかりには勝を入れられる。

「まず、会社の問題を解決して、立木さんを迎えに行きなさい、立木さんは錑を愛しているのよ、あなただってわかっているでしょ?」