その時、みゆが口を開いた。

「麗子さんと幸せになってください、私はもう錑を愛していません」

衝撃的な言葉が、俺の心を引き裂いた。

俺はみゆをその場に残し、東京に戻った。

それからみゆは健志と共に与那国島で生活を続けた。

俺は東城氏の元へ向かった。

契約をするためではなく、俺がみゆに振られた事を説明するために……

「何、みゆちゃんに振られただと?」

「はい、申し訳ありません、約束が果たせなくなりました」

「何があったんだ」

「会社の倒産の危機を聞いて、宇佐美不動産の令嬢の元に会社を助けて欲しいと頼みに行ったと思われます、その時俺と別れる様に言われたんだと思います、だからわざと健志に身を任せるような態度をしたんだと思います」

「健志というのは……」

「与那国島でみゆの病気を見てくれている医師です、自分の親友です」

「それなら、わしの事を話して、会社の危機を救えるのはみゆちゃんだと伝えればよかろう」

「もし、みゆが本当に愛しているのが健志なら、みゆは自分の気持ちを封じ込めて、俺との結婚の道を選びます、そんな事出来ません」

「それなら、契約の話はなしだな」