えっ?社長のマンションで二人?いやいや無い無い、私自意識過剰だ、考え過ぎだよね、だって社長にはゆかりさんがいるし……

社長のマンションは高層ビル四十五階建、こんな素敵な所に住んでいるんだ、私のボロアパートとは比べものにならない、もう出るのはため息ばかり。

「お帰りなさいませ、桂木様、今日はお客様とご一緒ですか?」

「彼女になってほしくて口説いてるんだけど、中々OKもらえなくて」

「そうですか?素敵なお嬢様ですので難しいかもしれませんよ」

「ご挨拶が遅れました、当マンションのコンシェルジュ横尾と申します、よろしくお願い致します」

「立木みゆと申します、桂木ホテルリゾート株式会社の社員です、社長の言う事真に受けないでくださいね、社長には彼女いるんですから」

「いねえよ、みゆへの気持ちは本気だから」

社長に見つめられて心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
ゆかりさんがいるじゃない、まったく社長は何考えているかわからない。






俺は休憩室でみゆと会った時、自分の目を疑った。

ずっと捜し求めていた女性が目の前にいたからだ。
一年以上捜して諦めかけていた矢先の出来事だった。

まさか、親父の会社の社員だったなんて……