俺は桂木錑、桂木ホテルリゾートの社長である。

一年前俺はある女性に恋をした。

恋に落ちると周りが見えなくなる。

だが、遊びは一度もない、そのたび一途だ。

イケメン、若き御曹司、次期社長と煽てられ、寄ってくる女は数知れず。

その中で、惚れ込んで一途な愛情を注ぐも、立場上うざがられる。

遊ぶ相手なら若いし、イケメンだし、御曹司ときてる。

遊ぶ相手にはちょうどいいらしい、ところが俺は一途に愛情を注ぐから面倒臭いらしい。

結果振られ、その繰り返しだ。

恋をした女性は、喫茶店の窓側にじっとしていた。

俯いて動かなかった。

俺は仕事の打ち合わせに寄った喫茶店で彼女を見かけた。

彼女の目の前にはコーヒーカップが置いてあり、口をつけた形跡がない。

俺が喫茶店に入って来てから、かれこれ三十分は経過している。

「錑様、そろそろお時間です、もう出発しませんと 遅れてしまいます」

俺に声をかけたのは親父と俺の秘書をしている高城だった。
正確には俺の秘書ではなくお守り役だ。