3.
学校へ……行くつもりだったのに。でも行けなかった。
気がついたら空は真っ暗で、星が綺麗だった。
私はふらふらと目の前に敷かれた道をただただ歩いていた。どこに行こうというあてもなく。
でも足は最初からそこに行こうとしてたかのように公園に着いた。
辺りを見渡すと、いつものベンチに滉晴が座っていた。
「よお」
笑顔で微笑みかけてきた。
「ごめん」
ごめんなさい。
「学校……行けなかった」
約束したのに、“絶対”って。
「……」
滉晴の顔が見れない。顔を上げるのが怖かった。
「焦らなくてもいいって言ったじゃん?」
「え……」
「行こうって思ってたでしょ?そう思えたならいいじゃん。一歩踏み出せたじゃん。気持ちは来れてたんだよ、お前。だから、お前は学校に来れた!」
「……」
「今度は友達に会えるといいな」
……滉晴は優しすぎる。優しすぎるよ。
「……うん」
滉晴の顔が見れた。満面の笑みを浮かべて私を見ている。
「来いよ」
そう言って滉晴は遊具を登り始めた。
「え?」
「ほら、いいもん見せてやるから」
滉晴はどんどん上に登っていく。
私もその後を追いかける。制服だから登りにくい。
気がつけば滉晴の姿が見えない。上まで登りきったのだろう。
登りが不得意な私は遅かった。どこに足をかけて登ればいいのか分からない。