9.

桜が舞う、3月。……卒業式。
門を出て帰り道の途中だった。

「今日で高校も卒業かぁ……」

右隣で麻美が呟く。

「長いようで短い高校生活だったね……」

左隣の恭子も呟く。

「ほんとだね……」

私も真ん中で呟いた。

「あんたはほぼ2年でしょーが!私たち2人がどれだけ寂しかったことか……」

恭子が低い声で言う。

「…ごめん…」
「いいって謝るな!しょうがないこと!
でも陽葵、あんたすごすぎでしょ!半年も学校きてなかったのに留年じゃないとか!どんだけ勉強したの!?」



──あれから2年が経った。
2年前の1年の冬、私は学校に行き必死に遅れを取り戻そうと勉強した。そして全てのテストで平均点以上を取り、2年へ上がることができた。

それからも勉強はし続けた。
そうして私は無事、恭子たちと高校を卒業することができた。

「だってすごいがんばったもん」

どうだと言った顔を見せつける。
すると2人が飛びついてきて、私の頭をぐしゃぐしゃにして言う。

「あんたすごいよ!よくがんばった!」
「3人で卒業できて本当によかったああ!」

笑顔でそう言ってくれた。


2人はずっと私を待っててくれた。
久しぶりに学校に行った時も驚いてはいたが笑顔で迎えてくれて、『本当に良かった』ってそう言ってくれた。
そんな2人の顔を見て号泣したのを今でも覚えている。


「……私、2人が友達で本当によかった」

ふとそんなことを呟くと、気づいたら自分の目が潤んできたので下を向く。
2人は私が泣いてることに気づくと、恭子が私の肩に手をのせた。

「私達も、陽葵が友達でよかったって思ってるよ。ね!」
「当たり前だよ!私達は陽葵が大好きだよぉ!」

麻美が叫ぶと私と恭子をまとめて抱きしめた。恭子と私も抱きしめ返す。
3人で抱きしめあってる形になり、私達は笑い合った。

たくさん話し合った。おもしろい先生の話、旅行の話、つまらなかった授業の話。
卒業した今となっては、どんな小さいことも大きな思い出となった。