放課後、1組の前を通った時にふと気になって教室を見た。

するといつもの友達と3人で陽葵ちゃんはいた。でも、いつもの明るい感じとは違う。陽葵ちゃんは泣いていた。
頬を見ると、赤くなっている。連れてかれた後、殴られたんだ。

……最低だ。


「……大丈夫?」

廊下の窓からそのまま話しかけた。
3人は驚いた様子でこちらを見る。

「えっと……、隣のクラスの?」
「吉成滉晴!……それより……頬、大丈夫?赤くなってるけど」
「あ、大丈夫です!気にしないでください!」

友達が気遣って言う。

「……そっか」

帰ろうとした時だった。

「心配してくれてありがとう」

声のした方に振り返って見ると、涙を拭いて腫れた目をしながら陽葵ちゃんは笑いかけてくれた。
胸が締め付けられる感じがした。


決めた。
俺は明日、陽葵ちゃんに告白する。
俺は絶対に、悲しい思いをさせたりしない。



次の日の放課後。1組に行き、陽葵ちゃんを呼び出した。

「栗栖さん!話があるんだけど」
「あ、はい……」

校舎の裏に連れてきたはいいものの……校舎の裏って定番だよな。
そう思いながらも、陽葵ちゃんと向き合う。

「改めて自己紹介するけど、俺、2組の吉成滉晴って言います!」
「あ、うん。知ってるかもしれないけど私、栗栖陽葵です」
「はい、知ってます!」

つい丁寧口調になってしまう。

「俺、初めて見た時から栗栖さんの事が好きでした!俺と付き合ってください!」

勢いで頭を下げる。緊張で顔を見れない。心臓がバクバクしてる。

「……私……彼氏いるの……先輩の……」

結果は……分かってた。

「……だよね」

そう言って顔を上げると笑ってるつもりでも目に涙がたまってる陽葵ちゃんの姿があった。

「ごめ、ごめんなさい……ありがとう……」
「うん」

陽葵ちゃんはずっと謝ってはありがとうとばかり繰り返していた。