胸が締め付けられそうになった。

私がいるって思ったから?

滉晴の顔がまともに見れなくなった。

「こんな天気の悪い日に、雨が降ってるって分かってても?」
「うん」
「休日でも?」
「関係ある?」
「いや……」

「現に陽葵はいたじゃん。陽葵だって俺に会いたかったからここに来たんでしょ?」
「……うん」

なんか恥ずかしくなってきた。
滉晴には私の思ってる事が分かるの?



静まり返る遊具内。どちらからも話す気配がない。聞こえるのは降り続く雨の音だけ。

ふと、滉晴の顔を見てみた。
さっきまでお互い雨に打たれてたため、まだ乾いてないのか滴がポタポタと髪を伝って下に落ちていく。
顔が熱くなってってるのが自分でも分かる。


「……お前、顔赤くないか?」

滉晴が私の顔を覗いて言う。

……近いよっ!!


「そ、そんな事ないよっ!」

私の言ってる事を無視して滉晴は私の額に手をあてる。滉晴の手は大きかった。


「お前、熱あるじゃん!ずっと雨の中いるからだよ!」

滉晴はしょうがないなといった感じで上に着ていた制服を脱ぎ始めた。

「え、な、何してるの!?」
「濡れてるけど、こんなもんでもないよりはマシだろ?着てろよ」

そう言って学ランを私に差し出してきた。

「……でも、滉晴は?寒くないの?」
「俺は大丈夫だよ。お前の方が心配だし」

胸が熱くなった。私のために……


「ありがとう、滉晴」
「うん」

受け取った学ランを上から羽織る。濡れてると思ってた学ランは、中は全然濡れてなくてすごく温かかった。

滉晴の温もりがある。