1.
「も~、ワケが分かんない~。なんなのよ~この胸のモヤモヤは~……」
“モヤモヤ”なんてもんじゃない。胸が締め付けられる感じ。
静まりかえった夜の公園でただ1人ベンチの上で体操座りしながら、うずくまってる私はグスグスと泣いていた。
空を見上げれば秋の夜空が広がっている。
綺麗な星を見つめるその目からは涙が溢れていた。理由は分からないけど、すごく悲しくて急に泣きたくなって近くの公園に駆け込んだ。
その時だった。
ふと顔を上げた時、公園の中央にある大きい家型の遊具の屋根の上に人影が見えた。
あんな高い所に人影……!?
普通にありえない。しかもこんな時間に。
「……ん?」
月に照らされたその姿をよく見ると……男?
しかも制服を着てる。
仰向けに寝転がっている……ということは寝ている?あんな高い所で?
いや……夜空を眺めてるんだ。
目が涙で潤んでボヤけて見えるけど確かにそう気づいた。
その男の人の目がどこか悲しい目をしてることも──
ぼーっとその男を見上げてたら視線を感じたのか、男がこちらに顔を向けた。
すると男は上半身を起こし、座った状態で話しかけてきた。
「そんな所で何してんのー?」
距離が少しあるため、大きめの声を出している。
……あなたこそ何でそんな所にいるのよと言ってやりたい。
けど怖かったから何も言わずにいた。
私が何も言わないでいると男は立ち上がり、遊具の屋根から一気に飛び降りる。
一瞬の出来事でビックリしたが、男はきれいに着地した。
あんな高さから飛び降りるなんて……。
男はだんだん近づいてくる。
自分の鼓動が早くなってってるのが分かる。なぜか緊張してる自分がいた。