それからしばらく、香恋は入院をしていた。
 クラスメイトの女子は耳が痛くなるほど大きい声で香恋に電話をしていた。                      
「ねぇ、香恋!なんで学校来ないの?」
「あ、ごめん!連絡するの遅くなったの。私ね引っ越したんだー!」
 香恋は病気のことは、僕にしか話していないので、クラスメイトにはいつバレてもおかしくない嘘をついた。                                 
 そして、僕はいつも通り香恋のいる病院へ行った。香恋と話しているとテレビの中から驚きのニュースが流れた。
《次のニュースです。今年は流星が見られるそうです!》
 香恋と奏汰は大きく目を見開いた。
「え⁉見られるの?」
 香恋は嬉しそうに言った。
 僕にとってはチャンスだった。
 香恋はの夢を叶えられる。
「あと、半年で流星が見られるのか……楽しみ!」
 香恋は目を輝かせていた。
「香恋、僕は香恋の夢を叶えたい!」
「うん。叶えてね。私は奏汰と一緒に流星が見られるなら……私、病気と闘う‼」
 二人は小指を重ねた。
 それから数ヶ月後、香恋の体が少しずつ動かなくなっていった。
「香恋、大丈夫?」
「うーん。私は元気なんだけどね、体は元気じゃないみたい……」
「そっか、僕は香恋が元気でいてくれると嬉しいな」
「なに?急に。照れるじゃない……」
 珍しく香恋の顔が赤くなっていた。
 二人はクスクス笑い合った。
「どんな最期かな……」
「え?」
「ん?ああ、最後は笑っていたり、幸せな気持ちで終わりたいの。『運』なんだよね」
「どういう意味?」
「『運』も流れ星と一緒で一瞬だからちゃんとキャッチしないと……」
「そっか。じゃあ、後は運に賭けよう」