翌日、学校へ行くと僕はすぐに香恋に聞いた。
「あの、少し聞きたいことがあるんだけど」
「どうしたの？」
「香恋にとっての『奇跡』ってどんなもの？」
「うーん、でも私にとっての奇跡はたくさんあるよ。例えば、今生きていることとかかな」
「……どうしてそれが奇跡なの？」
「前に話したでしょ？私には病気があるって。私はあの時、奇跡が起きていなかったら、今は生きていないかもしれない。そう考えると、今生きていることが私にとっての奇跡なんだよ」
　僕は香恋のきらめいている瞳が美しく見えた。