夕飯を終え、両親にミカちゃんを家まで送ってくると言って、僕たち二人はミカちゃんの家に向かった。僕はその道中で、最近ずっと抱えていた悩みをミカちゃんにだけは打ち明けることにした。
思いの丈をすべて話すと、ミカちゃんは開口一番に「バカ大輔」と言って、いつもみたいに僕を小突いた。
「なんでそんな大切な話、ずっと言わずに黙ってたわけ?」
「だってそんなこと相談したってどうすることも…」
「やる前からあきらめてどうすんだバカ!」
「バカバカ言わなくても分かってるよ自分がバカだって」
僕は思わず泣きそうになって、ミカちゃんはそんな僕を見てハッとしたようにごめんと謝った。情けないと思っているのに、声は震えるばかりだった。
「…僕たちに一体何ができるっていうのさ」
ミカちゃんはダウンジャケットのポケットに両手を突っ込んだまま、じっと何かを考えていた。それから僕をまっすぐに見据えて言った。
「まえにさ、大輔の友達を私は大事にしたいって言ったでしょ?」
「うん」
「大輔の友達なら私にとっても大切な友達。大輔の大事なものなら、私はそれを大事にしたい」
「でも…」
「でもじゃない。助けたいんでしょ?出来ることなんて、そりゃあんまりないけどさ、それでも、やっぱりやるしかないんだよ」
「うん…」
自信なさげな僕の背を、ミカちゃんはいつもみたいにバシンと叩く。
「そんな顔してちゃ出来るもんも出来ないよ。助けよう一緒に。私達の力で。これは私達にしかできない、私達の戦いなんだよ」
ミカちゃんはそう言うとニッと強気に笑ってみせた。その姿は僕なんかよりずっと強くてかっこよく、僕は彼女みたいになりたいと思った。