気がつくと、浜辺に立っていた。凄く長い夢を見ていたような気がする。

 そうだ。僕はとても大切な人を助けに来たんだ。

 名前は、確か――青井花火。

 ほとんど本能に従うようにして、近所の病院に向かった。

 なんとか病院に着き、青井花火と面会できることになった。

 僕は彼女を救うんだ。孤独でどうしようもない彼女を、救うんだ。

 スライド式のドアを開ける。ぶわっと風が吹き、病室のカーテンが揺れた。僕の目の前に、青井花火がいる。

 なんだか涙が出てきそうだった。溢れてくる感情を押し殺して、僕は彼女に近づいていく。

 これから透明になる彼女を彩るために。