立夏と清涼は外へ出て、お互いの顔を見合わせた。

「なあ立夏。二人で手分けして探そう。立夏は坂の上を、俺が坂の下の方だ」

 清涼は上と下、両方を指差して説明する。

「ナイスアイディア。じゃあそうしよう。一時間経っても見つからなかったらもう一回ここに集合ね」

「オッケー」

 清涼は立夏の瞳を見つめた。立夏が随分と無理をしていたことを、清涼は見抜いていたからだ。

 目の前の現実は立夏にとってとても辛いものだ。ずっと好きだった太陽は花火が好きで、昔みたいにもう一度好きな人を失うからと、逃げ出した。それくらい、夏乃の話を聞けば分かる。立夏は事実上振られに行くようなものなのだ。さらには、新しくできた友達がその相手で、不治の病に侵されていると来た。その心境が複雑でない方がおかしい。

 立夏が今、無理をしてここに立っていることは間違いない。

「どうしたの?」

 清涼が何か言いたそうな瞳で自分を見ている事に気付いて、立夏は首を傾げた。

「んー。いや、無理すんなよ。そんで、頑張ってこい」

 清涼は一度ばつが悪そうに頭をボリボリかいてから、立夏の肩にぽんと手を置いた。

 それを聞いた立夏が瞳を丸くしていた。

「あははは。清涼には全てお見通しなんだね。はあ……全く、好きになる相手を間違えたかなこりゃ。でも、仕方ないよね。好きなんだもん」

 目尻に涙を滲ませながら、立夏は笑った。

 その笑顔を見て、その言葉を聞いて、なんでそんな酷いこと言えるんだよと清涼は苦笑した。無理をしているのは、何も立夏だけではないのだ。

「ああ。そうだな。好きなものは……仕方ないよな」

「そうだよ。仕方ない」

 お互いに一笑いしてから、もう一度見つめ合う。

「じゃあ今度こそ」

「お互いに頑張ろうね」

 向かい合って、互いの肩をポン押し合う。それを合図にして、二人は背を向けて、走り出した。

 まるで、互いが互いの背を押し合うように。