「...カウントダウンいくよ、3.2.1...」
赤いスイッチがはいり、配信が始まる。世界中が、今私に注目してる。
「...急にいなくなって、心配をかけてごめんなさい。keyです。私はこの何ヶ月の間大事なものを失いました。毎日不安で、取り戻したくてどうしようもなくて、とても辛い日々でした。でも、私の周りで支えてくれた仲間達が私に教えてくれました。この世界は、希望に満ち溢れてる。世界は私が思うほど、捨てたもんじゃない!!私が皆に救ってもらったように、私があなた達の心の鍵を開きます。聞いてください━━━━━━━」

ただひたすらに、私の思いを本当の自分を届けたい。私を見て、私を感じて、私に夢中になって、もっと...もっと...!!!!

『今更戻ってきてなんのつもりだよwwwww』
『またお嬢様気取りでチヤホヤされたいのか?』
「(またあのコメントが...!!)」
アンチのコメントが止まらない、それどころか増えていく...どんどん目にも止まらない勢いで増えていく...!!!!だめ...やめて!!!!
『歌え、key。歌い続けて。』
突然見えた一つのコメント。それが送られた途端、アンチのコメントが止まった。
「(Mira...!?)」
私の憧れのシンガー、Miraだった。
「(うそ、本物のMira...!?)」と里穂も驚きの表情。
『あなたは1人じゃない、あなたの歌で希望を与えて。』
たった一言で物凄い気合いが入り、歌に感情が篭もる。すごい、Miraさんありがとう...!!歌いたい、嬉しいの、すごく嬉しい...!!!!
『なんか歌い方変わった?ちょっと好きかも』
『なんか中毒性ある、あ、いい意味でな』
歌い終わった頃には止まらないいいねとコメントで一種の社会現象が起きていた。急上昇1位となり、全世界がkeyに釘付けになった。
「ありがとう、皆...。Miraさんも、コメントしてくれている皆も本当にありがとう。そして、私を支えてくれた皆、大好き。みんなみんなだーいすき!!!!」
keyはこの瞬間から永遠の歌姫となった。





3年後、純恋と里穂は同じ大学へと進みキャンパスライフを送っていた。ぱてまとやむは2人で作曲ユニットを組みkeyの歌を手掛けたということもあり大成功を果たす、今ではテレビにも紹介される大人気作曲家となった。今でもたまに連絡をとり作曲の手助けをしている。
Miraは突如ネットから姿を消し、「自分磨きをしに行く」と言い残し完全に消えた。keyに影響を受けたのでは?という説が出回っているが本当のところはMira本人しか分からない。
「純恋このあとどーする?」
「あーごめんこのあと事務所行かなきゃ」
「さーすが世界的シンガー!私とはレベルが違いますな~」
「明日はオフだからカフェ行こうね!!」
「あ、純恋ちょい待ち!!」
手渡されたのはCD。きょとんとした顔で里穂の方を向く。
「私が作曲した曲。今度歌ってよ。」
「...うん!!!!」
keyはあの配信をきっかけに本格的にシンガーとして活動を始め、事務所へも所属した。たくさんの人の心を開き鍵を開けたkeyを、誰もが愛し誰もが魅了した。本当の自分"という問いを楽しく考えながら、これからもkeyは歌い続ける。