「純恋、声が...!!」
「...やった...やったぁ...」
「純恋、純恋!!」
自分の事のように喜ぶ里穂が強く私を抱きしめて、私も抱き締め返す。今までの中で一番綺麗な涙が零れた。

母も父もぱてまもやむも皆喜んでくれて、私は再び声を取り戻した。少し声に違和感はあるものの、私の私だけの声だった。
「え、私をメンバーに!?」
「うん、里穂が私と一緒に歌詞考えて欲しい!!今日だけだから!!」
ということで、里穂も交えて最後の作曲活動をしたいとぱてまとやむに懇願すると...
『ふん、好きにすれば!』
『もちろん大歓迎なのだよ~』
とあっさり。2人とも色々あったが、良い信頼関係を築けたと思う。メンバーは4人になり、4人で最後の作曲活動をすることに。

『サビ、あと少しね。何か入れたい言葉はある?』
やむが尋ねると、里穂がすかさず『あの...』と提案した。
『keyって、鍵って意味だよね。もしかして、何か意味があったんじゃないのかなって。』
『意味...』
ずっと孤独な気がして、本当の自分が分からなかった。本当の自分だと思っても、それを証明してくれる人はいない。だから私は私を好きになれなかった。我慢して、理想になるために悩んで悩んで悩み倒しての日々。
平凡で、中途半端でつまらなくて。周りに流されてしまいそうになるのに、目立ってみたい気持ちもある。そんな私を、私は心底嫌ってた。だから、そんな自分に鍵をかけるためにつけた名前、key。
でも、今となっては違う。違う意味なんだ。
『...本当は、鍵をかけて自分をしまい込むためにつけた名前だった。でも、今は違うの。』
『今は、誰かがかけてしまった鍵を解き放ってあげる誰かの心を開く鍵になりたい。そんな思いを込めて、key。』
誰かのために、誰かの心を開いてあげたい。今まで私が皆に支えてもらったように。
『いいじゃない、keyらしい。』
『...うん』
『オールOKなのだよ~』
歌詞が自然と思い浮かぶ。私は思いのままに自分を書き綴った。