『え?私を曲に...?』
突然ぱてまとやむがkeyを曲のモデルにしたいと言い出した。
『そう、あんたが適役!!』
『やむと話し合って決めたことなのだよ~』
そう言って2人はそそくさと作業に取り掛かり始めた。
『どうして?私なんかを曲にしても何もないよ?』
『何も無かったら任命しないでしょ。あんたしか出来ないのよ、この曲のモデルは。』
『まぁ実際、言い出しっぺはやむなのだよ。』
『ちょ、ぱてま!!』
2人が考えていることが分からない。私なんか曲にしても何も楽しくないはず、私はつまらない人間だから...。
『それじゃ、私は諸事情で一度抜けるのだよ~』
ぱてまがオフになり、やむと2人きりになった。
『ねぇ、どうして?私が曲のモデルだなんて...』
『...私、あんたのことずっと見てた。ネットでずっと見てた。すっごく羨ましかったの、私は載せた曲にコメントがつくだけで喜べるのにあんたはそんなの当たり前の世界で。住んでる世界が違う、ってあんたを勝手に嫌ってた。』
やむのその声は震えていた。私は服をぎゅっと握り聞いていた。
『でも違った。あんたは人との差を感じたり、人気や他者の評価で人の価値を決めつけない人間なんだって確信した。人として、あんたを尊敬してるの。』
『あんたがどんなに自分に自信がなくても、低く低く自分を見てしまう性格でもあんたは凄い!!私が保証する、あんたは周りを強くさせてくれるの。だから私は、keyを選んだ。』
名前を呼ばれてドキリとする。そういえば、初めてかもしれない。
『私も2人と出会って自分の知らないことを知れたよ。だからこんな私で良ければ。お願いします。』
まるで告白みたいだと2人で笑った。慣れない会話に戸惑う中で私は確実に自分を見つけていた。