追放されるのは心外だった。
 それに……。
「追放は百歩譲っていいとするよ。でもここで追放というのはどういうことかな? まだ街や村までは距離がある。それなのに僕ひとりになったら、近くの街に辿りつくまでに魔物に襲われてもおかしくないんだけど……」
 この世界には、人間を襲う魔物と呼ばれる存在がいる。
 そのため、子どもは街の外に出ちゃいけないよ……というのはどのご家庭でも教えられることだ。
 情けない話だけれど、今の僕は弱い。ギャロルたちの足元にも及ばない。
 いつ魔物に殺されてもおかしくはない。
 それなのにこんなところでギャロルたちと離れることは、自殺行為だ。
「ああ? お前、まだそんな甘えたこと言ってんのかよ」
 眉間に皺を寄せ、すごむギャロル。
「お前も冒険者の端くれだろうが。近くの街に辿りつくくらい、ひとりでなんとかしてみせろってんだ」