準備を終えた俺は、玄関に向かう。
そこには既にセシリアとフィンランちゃん、そして母親が待っていた。
「すみません、遅くなりました」
「いえ、大丈夫ですよ。 では、行きましょうか。 辺境伯の家は、この別邸から徒歩10分くらいの場所です」
俺が眠っていたこの家は、別邸だったのか。
流石はアグリアス王国で言う貴族クラスの家族……。
「さあ、行きましょうか」
「ソキウス様、行きましょう」
「にーに、いこ?」
「あ、そうだな。 行こうか」
二人に手を繋がれたが、この町の事は全く知らないので、大人しく繋がれたまま行く事にした。
しかし、辺境とは思えない町並みだな。
アグリアス王国なら地方都市クラスの町並みだ。
そして、町の人達は活気に溢れている。
アグリアス王国の大半の町や村じゃ、活気がない場所ばかりだったからな……。
俺とルリアが産まれた村は、まだ活気があったが、魔族に壊滅させられたからな。
「さ、着きましたよ」
そう考えている内に、辺境伯の家に着いたようだ。
しかし、別邸もそうだったがここも役所の役目を兼任しているのもあるのか、大きな屋敷だと思った。
「ここが辺境伯の……」
「ええ、その通りですわ。 さぁ、入りましょう」
母親に促されて、俺は中に入っていく。
もちろん、セシリアとフィンランちゃんの手を繋いだままで。
「おお、ソキウス殿。 目覚められたか」
「ええ、おかげさまで」
「お兄ちゃん!!」
「わっとと……」
中に入り、早速辺境伯らしき人と話しかけらた直後に、辺境伯の背後からルリアの声が聞こえた。
そして、彼の背後から水色のロングヘアを揺らしながら、俺に一目散に駆け寄り、そのまま抱きついてきた。
その際、セシリアとフィンランちゃんは空気を読んだのか、手を離したみたいだ。
「お兄ちゃん……、よかった……、よかったよぉ……」
「ルリア……」
俺に抱きついたまま泣きじゃくるルリアの頭を撫でながら、妹の無事に安堵した。
だが……。
「といっても、半分くらいは良くないんだけどな。 俺の現状的に」
「女神様から聞いた。 お兄ちゃんを死亡扱いにして報告後、鬼籍入りさせたって。 でも、女神様からお兄ちゃんは意識を失っているけど生きてるって聞いてから、女神様は介入してくれた」
やはり、ルリアは女神様から色々聞いていた。 シュルツに気絶させられている間、念話魔法を無意識に発動していたみたいだ。
「さて、積もる話もあるだろうが、挨拶と二人の今後の提案を伝える為に広間に行こうか。 セシリアやフィンも来なさい」
「はい」
「うん♪」
辺境伯は、俺とルリア、そしてセシリアとフィンランちゃんも連れて、母親と共に広間へ向かう。
広間もそこそこの広さで、会議室代わりにも利用しているのだとか。
俺とルリアが辺境伯に指定された場所に座ると、辺境伯が話を始める。
「さて、まずは自己紹介でもしようか。 私は辺境伯であるジョセフ・アルテミシオン。 クレストリア王国の東寄りの辺境でここ『ザッハトルテ』の町を始め幾つかの村を治めている領主でもある」
「私はその妻のフィオナ・アルテミシオンです。 よろしくお願いします」
俺達と対面する形で辺境伯のジョセフさんとその妻でありセシリアとフィンランちゃんの母親であるフィオナさんが改めて自己紹介をした。
俺達の名は知られているのし、特に俺は鬼籍入りされてる事もあり俺達の紹介は必要ないらしい。
「ソキウス殿は妻から聞いているだろうが、君を保護して目覚めるまでの二週間の間にアグリアス王国では、君を死亡扱いにして鬼籍入りされたそうだ」
「ええ、ルリアも女神様から聞いたようですし、俺も言われたようにフィオナさんから聞きました」
「その女神様の声が聴けるルリア殿が目を覚ましたと同時に王族に告発したことで、向こうでは動きが慌ただしくなっている。 現在進行形でな」
フィオナさんからも聞いたが、今でも慌ただしくなっているのか。
「これはアグリアス王国の王都内でソキウス殿の死亡報告とルリア殿の失踪で王都の住民からはその要因を作ったシュルツとエレンを処刑しろという騒ぎが起きている」
「あれ? 何で住民さんがそれを知ってるの?」
「何でも全世界に多数の支店がある『アーノルド新聞社』の記者がその決定的瞬間を捉えてたらしく、これを即座に記事にして全国に報道された事で知ったらしい」
「あの時に記者が隠れていたのか」
アグリアス王国の住民が利用している報道新聞『アーノルド新聞』が住民向けに報道した記事で知ったのか。
「でも、シュルツもエレンも貴族だ。 その家系の者がもみ消しにしているんじゃ?」
「『アーノルド新聞社』は、貴族であろうが何であろうがあるがままに報道をすることを信条でね。 貴族が金や権力でもみ消すことはできないのさ」
「買収する事は可能なんじゃ?」
「それも不可能だ。 世界で唯一の報道新聞だから、無理やり買収させるのも禁止になっている。 それを破れば極刑になる法律もあるからね」
王族よりも力が大きいんじゃないか? その『アーノルド新聞社』は。
金や権力によるもみ消し要求にも応じず、買収も禁止という頑なな会社なのかもしれないな。
「奴の……シュルツの動向は?」
「今は牢獄の中だが、気を付けた方がいいのかもしれないな」
「ええ、あいつの事ですし、脱獄して自分を否定した奴らを皆殺しにしてまで自分の箱庭をつくるつもりでしょう」
ルリアを気絶させた後のシュルツのセリフが物語っている。
人々を助けるために寄り道すべしという女神様の言葉を元に構想していた俺を、シュルツとエレンは時間の無駄と批判したからな。
ジョセフさんもやはり警戒が必要な旨を言う程だからな。
何より女神の加護を強く受けた為に本来は気絶魔法が効かない聖女のルリアを気絶魔法で気絶させたのだから、今後何をしてくるか……。
そして奴らがルリアを実験体として取り返しに来る可能性も考えて動かないとな。
「さて、次の話だが……」
俺がそういう事を考えていると、ジョセフさんが次の話に移るようだった。
そこには既にセシリアとフィンランちゃん、そして母親が待っていた。
「すみません、遅くなりました」
「いえ、大丈夫ですよ。 では、行きましょうか。 辺境伯の家は、この別邸から徒歩10分くらいの場所です」
俺が眠っていたこの家は、別邸だったのか。
流石はアグリアス王国で言う貴族クラスの家族……。
「さあ、行きましょうか」
「ソキウス様、行きましょう」
「にーに、いこ?」
「あ、そうだな。 行こうか」
二人に手を繋がれたが、この町の事は全く知らないので、大人しく繋がれたまま行く事にした。
しかし、辺境とは思えない町並みだな。
アグリアス王国なら地方都市クラスの町並みだ。
そして、町の人達は活気に溢れている。
アグリアス王国の大半の町や村じゃ、活気がない場所ばかりだったからな……。
俺とルリアが産まれた村は、まだ活気があったが、魔族に壊滅させられたからな。
「さ、着きましたよ」
そう考えている内に、辺境伯の家に着いたようだ。
しかし、別邸もそうだったがここも役所の役目を兼任しているのもあるのか、大きな屋敷だと思った。
「ここが辺境伯の……」
「ええ、その通りですわ。 さぁ、入りましょう」
母親に促されて、俺は中に入っていく。
もちろん、セシリアとフィンランちゃんの手を繋いだままで。
「おお、ソキウス殿。 目覚められたか」
「ええ、おかげさまで」
「お兄ちゃん!!」
「わっとと……」
中に入り、早速辺境伯らしき人と話しかけらた直後に、辺境伯の背後からルリアの声が聞こえた。
そして、彼の背後から水色のロングヘアを揺らしながら、俺に一目散に駆け寄り、そのまま抱きついてきた。
その際、セシリアとフィンランちゃんは空気を読んだのか、手を離したみたいだ。
「お兄ちゃん……、よかった……、よかったよぉ……」
「ルリア……」
俺に抱きついたまま泣きじゃくるルリアの頭を撫でながら、妹の無事に安堵した。
だが……。
「といっても、半分くらいは良くないんだけどな。 俺の現状的に」
「女神様から聞いた。 お兄ちゃんを死亡扱いにして報告後、鬼籍入りさせたって。 でも、女神様からお兄ちゃんは意識を失っているけど生きてるって聞いてから、女神様は介入してくれた」
やはり、ルリアは女神様から色々聞いていた。 シュルツに気絶させられている間、念話魔法を無意識に発動していたみたいだ。
「さて、積もる話もあるだろうが、挨拶と二人の今後の提案を伝える為に広間に行こうか。 セシリアやフィンも来なさい」
「はい」
「うん♪」
辺境伯は、俺とルリア、そしてセシリアとフィンランちゃんも連れて、母親と共に広間へ向かう。
広間もそこそこの広さで、会議室代わりにも利用しているのだとか。
俺とルリアが辺境伯に指定された場所に座ると、辺境伯が話を始める。
「さて、まずは自己紹介でもしようか。 私は辺境伯であるジョセフ・アルテミシオン。 クレストリア王国の東寄りの辺境でここ『ザッハトルテ』の町を始め幾つかの村を治めている領主でもある」
「私はその妻のフィオナ・アルテミシオンです。 よろしくお願いします」
俺達と対面する形で辺境伯のジョセフさんとその妻でありセシリアとフィンランちゃんの母親であるフィオナさんが改めて自己紹介をした。
俺達の名は知られているのし、特に俺は鬼籍入りされてる事もあり俺達の紹介は必要ないらしい。
「ソキウス殿は妻から聞いているだろうが、君を保護して目覚めるまでの二週間の間にアグリアス王国では、君を死亡扱いにして鬼籍入りされたそうだ」
「ええ、ルリアも女神様から聞いたようですし、俺も言われたようにフィオナさんから聞きました」
「その女神様の声が聴けるルリア殿が目を覚ましたと同時に王族に告発したことで、向こうでは動きが慌ただしくなっている。 現在進行形でな」
フィオナさんからも聞いたが、今でも慌ただしくなっているのか。
「これはアグリアス王国の王都内でソキウス殿の死亡報告とルリア殿の失踪で王都の住民からはその要因を作ったシュルツとエレンを処刑しろという騒ぎが起きている」
「あれ? 何で住民さんがそれを知ってるの?」
「何でも全世界に多数の支店がある『アーノルド新聞社』の記者がその決定的瞬間を捉えてたらしく、これを即座に記事にして全国に報道された事で知ったらしい」
「あの時に記者が隠れていたのか」
アグリアス王国の住民が利用している報道新聞『アーノルド新聞』が住民向けに報道した記事で知ったのか。
「でも、シュルツもエレンも貴族だ。 その家系の者がもみ消しにしているんじゃ?」
「『アーノルド新聞社』は、貴族であろうが何であろうがあるがままに報道をすることを信条でね。 貴族が金や権力でもみ消すことはできないのさ」
「買収する事は可能なんじゃ?」
「それも不可能だ。 世界で唯一の報道新聞だから、無理やり買収させるのも禁止になっている。 それを破れば極刑になる法律もあるからね」
王族よりも力が大きいんじゃないか? その『アーノルド新聞社』は。
金や権力によるもみ消し要求にも応じず、買収も禁止という頑なな会社なのかもしれないな。
「奴の……シュルツの動向は?」
「今は牢獄の中だが、気を付けた方がいいのかもしれないな」
「ええ、あいつの事ですし、脱獄して自分を否定した奴らを皆殺しにしてまで自分の箱庭をつくるつもりでしょう」
ルリアを気絶させた後のシュルツのセリフが物語っている。
人々を助けるために寄り道すべしという女神様の言葉を元に構想していた俺を、シュルツとエレンは時間の無駄と批判したからな。
ジョセフさんもやはり警戒が必要な旨を言う程だからな。
何より女神の加護を強く受けた為に本来は気絶魔法が効かない聖女のルリアを気絶魔法で気絶させたのだから、今後何をしてくるか……。
そして奴らがルリアを実験体として取り返しに来る可能性も考えて動かないとな。
「さて、次の話だが……」
俺がそういう事を考えていると、ジョセフさんが次の話に移るようだった。