このようなデメリットを宿命的にもっているニッチ文化に囲まれていると、他者とのコミュニケーションが下手になるのではないかと心配になる。
 昭和の人間はテレビ番組について翌朝話すのが習慣だったが、最近は共通の話題をみんなで話すよりも、その場でYouTubeを見たりする。
 隣にいる人が、どんな生活をしているのかを知ることが、大きな驚きをもたらすことは今も昔も変わらないが、すぐ隣にいる人が 思いもよらない動画を見て笑っているという具合に個別化がさらに進んでいるのである。
 子どものとき、それほど親しくない人や、上級生の家に招待されてよく遊んだものだった。
 そんなとき、新鮮な驚きをもって家の中を見まわしたものである。
 ある人は押し入れでファミコンをしていた。
 これだけで充分に驚愕の事実である。
 ドラえもんか。


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【サブタイトル】
音を表現するには

【本文】
 音は空気の振動である。
 音を表現することは、空気を表現することに似ている。
 音には実体がない。