あなたがこの本を読んでいる頃僕はもうこの世界にはいないと思う。あぁ、でも、これは遺書なんかじゃあないんだ。
これは言うなればラブレターみたいなものさ。
まぁ、渡す相手はもうこの世界にはいないんだけどね。とても自己中心的で、どこにも行き場のない彼女への想いを綴ったラブレター。
だから、不特定多数の人に読んでもらうには不向きな話だと思う。完璧に僕の自己満足と気持ちの整理のために書いた話だからね。
でも、彼女が最後に言ったんだ。
「いつか私の本を書いてよ!そして、私が世界から忘れられないような人気の作品にして!」
ってね。だから僕は彼女の話を色んな人に見て貰えるように本にしたんだ。
人気かどうかは分からないけれど、誰かは覚えていてくれるような自分の中でも自信がある最高傑作となったことは間違いない。
話が逸れたね。ごめんね、悪い癖なんだ。すぐに話が脱線する。彼女にもよく咎められたっけ。
「話がどっか行っちゃってるっ!!」
って。
とりあえず、プロローグということでこの話がどんな話なのか説明しようか。
この話は幸せでハッピーエンドが訪れる話なんてものじゃない。
僕にとっては幸せでハッピーエンドな話なんだけど世間一般的に考えると多分バットエンドなんだろう。
だから、みんなが幸せになるような素晴らしいハッピーエンドを期待してこの本を開いた人はすぐさま別の本を読むのをおすすめするよ。
この話は人生を失った少年と人生を奪われた少女との復讐劇だ。
いや、ちょっと違うな。正しくは、人生を奪われた少女の復讐に手を貸す話だ。
僕は正直復讐なんてどうでもよかった。ただ暇だから手伝った。ただそれだけのつもりだった。
初めはそれだけのつもりだったんだ。本当に。
でもだんだん少女との日々に慣れてしまった。
人生最大のミスを聞かれたら多分少女と出会ったことと答えるだろう。
逆に人生で1番良かったことを聞かれたら少女出会ったことと即答するだろう。
少女との日々はずっと続くと勝手に勘違いしていて。変わらないものなんてないという当たり前のことすら忘れていて。それでも、やっぱりずっと続いてほしくて。多分この気持ちは恋なんてありきたりな言葉で表せるほど単純じゃなくて。言葉に出すことでその価値が減るような感覚にすら落ちいって。
共依存に近いものだったんだなと今更になって気づいた。
そんなことはどうでもいいんだけどね。いや、どうでも良くは無いんだけどこれからの話の中でどうせ説明するだろう。
とにかく、僕らはいや僕は幸せだった。彼女がどうであったかは分からないけど彼女も幸せだったならいいなと思う。
これはそんな僕らだけのハッピーエンドの話。