無言の後は、喧嘩していたことがまるでなかったかのように、会話をした。話をしなかった約半年分の、たまっていた玲奈への言葉がどんどん溢れ出てきて、止まることがなかった。

 仲直りした時、ずっと胸につっかかっていた黒いものが、すっと綺麗に消えていった。

「ねぇ、優菜は“ 十年後ロケット ”ってサイト知ってる?」

「何それ?」

「メッセージを十年後に届けたいなって人の、連絡先と、送りたい画像、メッセージを書いて、サイトに登録するの。そしたらね、登録した届けたい日に、それが相手に届くんだよ。もちろん自分に送っても大丈夫だよ! その画像の写真撮ろうと思って、ここに来たんだぁ。思い出いっぱいの場所」

「え、楽しそう! 私もやる! でも、十年後って、連絡先変わってて届かない確率高くない?」

「それね! 私も思ってた。でもね、十年後じゃなくてもいいらしいよ!」

「明日でさえ、私はこの世界にいるのか分からないのに……十年後は先すぎるな」

 十年後なんて想像出来ないな。この世界にいるとしても、私は一体何をしているのだろう。なりたい姿みたいなのは頭の中にあるけれど、現実が理想に追いついていなさそうだし。まぁ、今考えることは何年後にしようかな?ってことか。どうしよう。五年後ぐらい?

……うーん。

「私はとりあえず、一年後にしておこうかな!」

 玲奈は言った。

「私も!」

 一年後だったら連絡先も変わってなさそうだし良さそう!