もう半年くらい、玲奈とはまともな会話をしていない。黄色く葉が色づきはじめ、少し寒くなって来ている季節に、玲奈と喧嘩した。

 その日の彼女は、私に対してあきらかに言動が冷たくて、目も合わせてくれずに、いつもと様子が違っていた。嫌なことがあればすぐに態度に出るタイプだったから、何かあったのかなって思っていた。

「ねぇ、透とは何にもないって言ってたよね? なんでふたりで出かけてるの?」

 学校から帰る時にいつも通る、人通りの多い並木道で、いきなり彼女は怒鳴り口調で私に質問をしてきた。

「ふたりで仲良さげに街を歩いてるの見たって、うちのクラスの女子達が言っていたんだから」

 いきなり何? なんで怒るの? まずは一緒にいた理由くらい、聞いてくれればいいのに。

「事情も知らないくせに! すぐにキレるの嫌い! ムカつく!」

 私は頭に血が上り、言い訳せずに、怒鳴り返してしまった。周りにいた数人の人達が反応して振り向いていた。

 私が一呼吸して、気持ちを落ち着かせて、理由を話せば良かったのかな。でもその事を悔やんでいても、もう手遅れ。美しく見えていた辺りの黄葉は、くすんで見えた。



 透。彼とは高校生になり、同じクラスになった。そして私たちと仲良くなっていった。いつの間にか三人で遊ぶようになっていき……

 玲奈は、すぐに透のことが好きになっていった。