誰もいない教室。足音ひとつさえも聞こえない静けさ。夕陽の光が窓から差し込んでいて、教室が綺麗な茜色に染まっている。
 
 私は明日、三年間通っていたこの高校を、卒業する。

 ひとつだけ心残りがある。いつも彼女が座っていた席を教壇から見つめた。縦横五列並べられている机。右から二番目、前から三番目が彼女の席だった。想像の中の彼女は、こっちを見て微笑んでくれた。想像の中でだけ……。


 ――もう卒業したら、玲奈とは会えなくなるのかな?