歩き出そう、虹色に輝く未来(あす)へと。

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『優歌ちゃん……俺、夢があるんだ。
どうしても叶えたい……叶えなくちゃいけない夢が。
俺のたった一つの夢を……追いかけたいんだ。
だから、笑って送り出してほしい』

璃玖さんは後ろを向いて屋上から見える風景を見ている。

『この広い世界で、俺は生きていく』

決意を秘めた言葉。

『っく……頑張ってくださいっ』

分かっていた。
律玖さんが、この答えを出すということ。
私は、送り出すしかないんだ。

『応援っ……してますから……』

律玖さんは、やらなくてはいけない事を。
やり遂げて下さい。

『優歌ちゃん……』

律玖さんも、茉璃愛先輩も。
いつも私の百歩も千歩も先へと、進んでいく。
その歩みを止めることはできないんだ。


──私ではできないんだ。


『私はずっと……っ律玖さんをっ……応援しますしっ……味方、ですからっ!!』

涙をこぼしながら力強く伝えた。

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「……律玖さんとの関係とか……いろいろ変わりました。でも、ここはずっと変わらないから、茉璃愛先輩との思い出が……消えることはないんですよね」

私は手を置くのをやめ一歩、後ろへ下がった。


「先輩。律玖さんは、アメリカへ行きました。アメリカの大学へ入学したからです。
……やらなくてはいけない事……先輩は、分かっているんでしょう?

見守っていて下さい、律玖さんのこと」

そして息を吸うと。

「私も、来週からオーストリアに行ってきます。……というよりもう行ってるんですけどね。
今は長期休暇中なので、戻ってきてるんです」


静かに笑って、最後に一言。

「茉璃愛先輩、ありがとう」

希望をくれて。
夢というものが、どれだけ大切か。
生きるということが、どれだけ尊いものなのか。

──教えてくれて、ありがとうございました。




「よっしゃ、いくかぁ……」

桜の木に一礼すると、歩き出す。


──と、風が吹いた。
桜の花びらが舞う。

足を止め、振り返った。