歩き出そう、虹色に輝く未来(あす)へと。

「っ!律玖さん」

慌てた様子で音楽室に来た律玖さんの表情から何かあったというのは感じ取れた。

「どうかし──……」
「いいから来て!!」

手を引かれ、走って音楽室を後にする。

「律玖さん、何があったんですか!?」

質問にも答えてくれない。
ただ走って、学園を出た。

「タクシーっっ」

タクシーに乗り込み、律玖さんが言った。

「南川病院まで。急いで下さい!!」

【南川病院】
茉璃愛先輩が入院している病院。

体中が震えた。
私の手の震えに気付いたのか、律玖さんが説明してくれた。

「茉璃愛の容態が急変して……かなりヤバいらしいんだ。……茉璃愛が優歌ちゃんを呼んでほしいって言ったらしくて……黙って連れてきてごめん」

容態が急変?
目をギュッと瞑(つむ)った。

先輩を助けて。
祈ることしかできないけれど、病院に着くまで祈り続けた。




「着いたよ」

慌ててタクシーから降りて、病室まで行った。

「失礼します!!」

ノックもせずに入ってしまったが、急いで先輩の近くへ行く。
律玖さんが御両親に礼をしているのを見て、私もあわてて礼をする。


「まっり……あ、先輩っ」
「……ゆ……か……ちゃん?」
「はいっ、優歌です」

手を握った。
強く、願いを込めて。

「ごめ……文か……さい……出られ……な……」
「謝らないでくださいっ」
「C……D……」

茉璃愛先輩は近くにあった机の上にある、CDを指差した。

「……でき……た、よ……」

大きく頷いてCDを手に取る。

「私……優歌ちゃん、の……こと……好きだよ……」
「っせん、ぱっ……い」
「っはっ……律玖く、ん……律玖くん、は律玖くんの……夢を……追いかけて……」

「茉璃愛ッ」

茉璃愛先輩の手が私の手をかすかにひいた。
そして、ゆっくり唇が動いた。


涙があふれる。


茉璃愛先輩は、幸せそうに。

嬉しそうだけど、悲しそうに。

笑った────…………。



それと同時に先輩の手は力を失くして、私の手から先輩の手がするりと落ちた。