「私は、自分の輝ける場所を探す。
律玖くんの隣じゃなくても、輝ける場所を」
今の私には頷くことしかできない。
「諦めないよ、見つけるまで」
儚(はかな)い、今にも消えてしまいそうな微笑み。
こんなにきれいな笑みはこの世界にないと思うくらい、透明な儚い笑み。
「はい……っ」
茉璃愛先輩はこんなに強い。
それを改めて知らされたような気がした。
私はただ、律玖さんが好きだった。
でも、手は届かない存在だと。隣で歩くことはできないと。
諦めていた。
先輩は諦めないと言った。
まるで、私に諦めないでという様に。
「っく……」
泣かないように我慢する。
茉璃愛先輩の顔が見れなくてうつむいた。
こらえていると泣く音が聞こえ、顔を上げると先輩は泣いていた。
「ぅっ……」
大粒の涙をぼろぼろ溢して。
その雫は茉璃愛先輩の手に落ちて、濡らしていく。
心からの本当の涙。
偽りのない涙。
茉璃愛先輩は、本当に律玖さんを想っていた。
そうじゃなくちゃ、あんなに苦しそうに哀しそうに泣いたりしないから。
真っ暗な空に一つだけ、小さな星が輝いていた。
茉璃愛先輩が、私の前で涙を見せたのはこれが最後、でした。