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太陽が青い空に輝いている。
「まぶし……」
あれから、三日が経った。
結局、先輩には何も伝えられないまま。
「優歌ちゃん、録(と)るよ!」
「はい!」
今日はCDの歌を録音するために、スタジオを借りて来ていた。
「♪~」
録り終えると、休憩のため部屋を変える。
「かっこ良かったよ」
「朋加先輩、ありがとうございます」
「今、部長が録っているから、終わるまで待ってよう」
「茉璃愛先輩が?」
全然そんなこと、言ってなかったのに。
「優歌ちゃんには、CDができたら聴かせるって言ってたから。歌詞とか、まだ見せたくないんだって」
先輩の曲。
楽しみと、まだ聴けないという残念な気持ちもあった。
収録後。
「お疲れ様でした。休日なのに、みんな来てくれてありがとう」
茉璃愛先輩がいつもの笑顔で話す。
休日で、しかも録るのは先輩と私の二人だけ。
なのに、用事がなかった朋加先輩を含む四人が来てくれた。
「CDを出すのは、これで最後だと思うからいい記念になりました。これで解散なので、気をつけて帰ってね」
最後……──
この言葉が引っ掛かる。この前の事があるから、意識し過ぎているだけだとは思うのだけれど。
「お疲れ様、優歌ちゃん」
「お疲れ様、です。茉璃愛先輩」
「……売れるといいね。この曲をたくさんの人に聴いてほしい」
茉璃愛先輩は、優しく微笑んだ。
多くの人に聴いてほしいというのは、同じ。けれど、私には一番聴いてほしい人がいる。
「律玖くんにCDは、渡すつもりなんだ。文化祭のとき、軽音楽はライブがあるから前日くらいに渡そうかな」
「喜んでくれますよ。先輩のピアノ上手ですし、一曲あるんでしょう?先輩の曲。
律玖さんへの想いを綴(つづ)った歌詞でも、書いたんですか?」
からかうように言うと、茉璃愛先輩は寂しげな笑みを浮かべて。
「残念、違うよ」