◆◆◆◆◆

太陽が青い空に輝いている。

「まぶし……」


あれから、三日が経った。
結局、先輩には何も伝えられないまま。

「優歌ちゃん、録(と)るよ!」
「はい!」

今日はCDの歌を録音するために、スタジオを借りて来ていた。


「♪~」

録り終えると、休憩のため部屋を変える。

「かっこ良かったよ」
「朋加先輩、ありがとうございます」
「今、部長が録っているから、終わるまで待ってよう」
「茉璃愛先輩が?」

全然そんなこと、言ってなかったのに。

「優歌ちゃんには、CDができたら聴かせるって言ってたから。歌詞とか、まだ見せたくないんだって」

先輩の曲。
楽しみと、まだ聴けないという残念な気持ちもあった。



収録後。

「お疲れ様でした。休日なのに、みんな来てくれてありがとう」

茉璃愛先輩がいつもの笑顔で話す。
休日で、しかも録るのは先輩と私の二人だけ。
なのに、用事がなかった朋加先輩を含む四人が来てくれた。

「CDを出すのは、これで最後だと思うからいい記念になりました。これで解散なので、気をつけて帰ってね」

最後……──
この言葉が引っ掛かる。この前の事があるから、意識し過ぎているだけだとは思うのだけれど。


「お疲れ様、優歌ちゃん」
「お疲れ様、です。茉璃愛先輩」
「……売れるといいね。この曲をたくさんの人に聴いてほしい」

茉璃愛先輩は、優しく微笑んだ。
多くの人に聴いてほしいというのは、同じ。けれど、私には一番聴いてほしい人がいる。

「律玖くんにCDは、渡すつもりなんだ。文化祭のとき、軽音楽はライブがあるから前日くらいに渡そうかな」
「喜んでくれますよ。先輩のピアノ上手ですし、一曲あるんでしょう?先輩の曲。
律玖さんへの想いを綴(つづ)った歌詞でも、書いたんですか?」

からかうように言うと、茉璃愛先輩は寂しげな笑みを浮かべて。

「残念、違うよ」