新学期の学校はとげとげしかった。
 狭い町で、無責任な噂はすぐに広まる。月乃さんと聖地巡りをした僕はいつの間にか、よそ者のくせに彼女と親密になる生意気な男になっていた。
 今まで変な子と笑ってたくせに。
 月乃さん本人の悪口も聞こえる。
 この先も関わり続けたら、彼女も酷い目に遭うと思った。

 星也くんと目が合って、そらされた。
 ……当然だよね。そう思おうとする。
 変な女の妄想につき合わされて、気持ちが冷めたんだね。
 胸の痛みに気付かないふりをして教室に戻ろうとして、また他の女子に捕まった。
 彼とは何もないよと言うと、恋する目をしたその子の反応は可笑しいくらいわかりやすかった。