朝起きると、眩しいくらいの日の光を感じるようになった。
カーテンをあけて、空の青さを少しだけ堪能すると仕度に取りかかる。
今日は、哲弥さんと奈子ちゃんがまた遊園地に誘ってくれて、遊ぶことになっている。

好きな服を選び、自分で髪を結い、化粧をする。
奏多がくれた口紅を塗り、鏡の中の自分を見つめた。
オレンジの、少しラメの入った口紅だ。


『凜が隣で笑ってくれるだけで、俺がどれだけよろこんでるかわからないんだな』


彼の言葉を思い出し、鏡の中の自分に向かって微笑む。

鞄を掴むと、机の一番目立つところに飾られた写真へと目を向けた。
初めてのデートでジェットコースターに乗った時の、わたしと奏多の唯一の写真だ。


明るい髪色に、溌剌とした男の子が映っている。
あの時、叫びながら道案内してくれ彼は、今もわたしの行く先を示してくれている。


「いこっか」


もう一度鏡を振り返り、中から見つめる瞳に声をかけると、光溢れる世界へと踏み出した。