「い、た、た、たぁーー……」

やっと手首が治ったのに、またこんな事故を起こすなんてホントついてない。

全身を確かめるが肩を打って擦っただけだ。

(あーマジ良かった。死ぬかと思った)

胸を撫で下ろすと、一緒に滑っていた佐久間さんに「ばあか」と笑われる。
見ていたみんなも周囲に集まってきていた。


「お前下手くそなのに、難しい技ばっかやるから怪我が多いんだよ」

「下手だから練習してるんですってば」


ぶつかったのは同い年くらいの女の子だった。
ワンピースを着たとても可愛らしい子。
ゆるく巻いた長い髪をふわふわとハーフアップにしていて、お嬢様みたいだ。

見ると膝と手のひらから血が出ている。
ワンピースの裾が汚れてしまっていた。

「あー! ごめんなさいっ。あーやべえ。痛いとこない? 頭打たなかった?! マジでごめんなさい!!」

慌てて立たせて上げると、彼女はびっくりしたようで、わたわたと手を動かした。
ぎゅっと袖を掴まれてどきっとする。
怖がらせてしまったのか。