「奏多は遅刻かな。待ってるよってメール来たのに。哲弥さんは、奏多に頼まれた?」

早く会いたくて、周囲を見回しながら矢継ぎ早に質問をする。



「……今日俺はね、凜ちゃんと奏多の話をしに来たんだ」


哲弥さんの声がやけに暗くて、わたしは彼へと振り向いた。

「ーーーー?」


あまり良い雰囲気ではないのがわかった。
一体、どうしたと言うのだろう。

よくわからない不安が急激に込み上げた。
何かトラブルがあって遅刻するとか、そんな簡単な話じゃない。

直感でそう思った。

最初に思ったのは、フラれるのかなってこと。
でも、さっきまで仲良くメールできてたし、そんな筈はないって思った。

第一、別れ話を友達経由でするような人間じゃない。

奏多は誠実な人だ。


目が合うと、哲弥さんは泣きそうになった。
目が充血していて、震わせた唇を噛む。


「哲弥さん?」

「ごめん」


哲弥さんはガバッと頭をさげた。
なんで謝られるのかわからない。

戸惑っていると、哲弥さんは辿々しく絞りだすように告白をした。