目も見えないのに、ショーを観たいなんて言ったからこんなことになった。
見えていたらあの人を避けれたかもしれないし、奏多に怪我をさせることなんてなかった。
そんな考えがぐるぐると渦巻いて、わたしは結局ショーを観ることが出来なかった。
もう一度観ようかと言ってくれた奏多に、素直に頷けなかったのだ。
落ち込んで食欲もなくなってしまったわたしに、奏多は付き合ってくれた。
奏多はお腹空いているよね?
甘いの飲めば落ち着くからと言って、自販機でココアを買ってくれた。
人気の無いスペースで、手を繋いでベンチに座った。
「奏多、どこ怪我したの?」
「怪我なんてないよ」
「うそ。ほんとは怪我してるよね? 教えてよ。ちゃんと教えてくれないと、わたしはわかってあげられないんだよ」
八つ当たりのように泣くと、奏多はクスリと笑って捲った腕を差し出した。
「触ってみて、血なんて出てないから」
「う、腕だけじゃわかんないもん。……それに痣かもしれないじゃない」
「ははっ、じゃあ全身確かめてみる?」
そんなの無理に決まってる。
抗議の意味を込めて胸を叩くと、奏多が涙を拭いてくれた。