「ーーーー?!」

パチッと目を開ける。
何も見えないけれど、とんでもなく焦ってわたしは目を見開いた。


「んん?!」

未知の感触に叫ぶと、奏多がガバッと抱きついた。お日様の香りに包まれる。


「凜! あーもうなんで目を閉じるの。だめ。可愛すぎる!」


(え?)

「告白しようと思ってたのに先にキスしちゃったじゃん!」

(キス……? 告白……?)


意味がわからない。

いや、わかる。わかって、パニックになった。
だからこそ余計にわけがわからない。


ーーーーこれは、わたしは喜んでいいの?


「あ、あの……」

「あ、まって。先に話させて」


奏多は遮ると、大袈裟な深呼吸をしてから手を握った。


「俺、凜が好きなんだ……!!」


その瞬間、風がやんだ気がした。
全ての音が消えて、奏多の声だけが鮮明に聞こえた。

それは空から降り注ぐファンファーレみたいに、元気に、爽やかな音色でわたしを主役にした。


「付き合ってほしい……」


こんな幸せなことがあるんだ。
わたしは奏多を好きでいていいんだ。
もっとたくさん、一緒に居たいって言っていいんだ。


じわりと涙が浮かぶ。
あっという間にそれは溢れて、次々と頬を伝って落ちた。



「あ、泣いた……涙でるんだ……」

「……角膜と涙腺はべつだよ……?」

そっと教えると、そっかそうだった、と焦っていた。