公園では、奏多がスケボーで遊んでいる時は、わたしは木陰の芝生に座り、その音を楽しんだ。
つまらなくないのかって聞かれるけど、風や音を感じるのはとても楽しい。
奏多のスケボーは音がいつも違くて、トリックの出来栄えによって歓声も変わるから、特に聞いていて飽きない。
最近では、音で失敗がわかるようになってきた。
コンクリートを滑るタイヤの音に耳を澄ます。
出会ったときは春だったなぁと思いだす。
それなのにもう夏が終わり、秋が訪れようとしている。まだ暑いくらいの日差しだけど、風が冷たくて心地いい。
ただ道端でぶつかっただけだったが、ここまで関係が続くと思っていなかったから感慨深いものがある。
お昼になると、屋台でホットドッグを買って食べた。
「凜、ケチャップついてる」
「ん……」
指が唇の端を拭った。
いつもながらに恥ずかしい。
「今日、なんか元気ない?」
「え?!」
気もそぞろなのは、出かけがけにお姉ちゃんが変なことを言ったからだ。
ソワソワとしていたのがバレていたのかと焦った。
『え、まだ付き合ってなかったの? 凜から告白しちゃえば?』
簡単に言ってくれる。
奏多の事は好きだと思うが、奏多が付き合いたいと思っているかなんてわからない。
失敗したら友人としても会えなくなるのかと思うと、二の足を踏まずにはいられない。
でも、前に踏み出したいって気持ちもあって、言うか言わないかって、実はずっと迷っていた。
もうずっと前からわたしは、
もっと奏多を知りたい、
もっと一緒にいたいと思っている。