ガッ カッ シャー ゴロゴロ

たくさんの音が聞こえた。

スロープについているはずの、手摺りがカンッと鳴る。

楽しそうな男の人達の声。
おそらく集団だ。


(工事……じゃないよね)


怖い人達だったらどうしよう。
姿が見えないため、何人いるのか、どんな人達なのかさっぱりわからない。

仕方ないから階段で行こうと切り替える。


(ここの階段、何段だったっけ……)


真横のスロープから聞こえる騒がしい声がちょっと怖く感じた。どうも、がらが良く無さそうなのだ。

10年も目が見えなければ、第一印象は声になる。
声と話し方でなんとなく、その人の人となりを判断出来るものだ。

ガーとタイヤが転がる音から推測すると、スケボー集団がいるのではないか。

お姉ちゃんが、夜の駅前はダンス、スケボー、バイクの練習場所になってるよと言っていたことを思いだした。

手摺りに恐る恐る指を伸ばす。
カンカンガーガー聞こえるけれど、これは何をやっているんだろう。

なんとなくいやだなぁと思いながら、一つ目の階段に足をかけたとき、ガーっという手摺りを擦るような音と、若い男の悲鳴が聞こえた。


「うわあああ!! 危ないっ!!」


周囲から悲鳴が聞こえたと思ったら、急に体に衝撃が来て、後ろに飛んだ。

すこしだけ体がふわっとし、すぐに地面に背中を打つ。
手にしていた白杖も、バッグも飛んでいった。