食事を終えると、ひんやりとした場所へ移動した。
心なしか、暗い場所に思える。
瞳に光がまったく入ってこない。


「奏多? ここはなんのアトラクションなの?」

怪しい音楽も聞こえてきて、嫌な予感がした。


「遊園地と言ったらお化け屋敷。でも、凜にはお化け屋敷は危ない。
でもこれなら大丈夫! 聞くだけの聴覚攻めお化け屋敷、恐怖の館だ!」

自信満々に言われ、わたしは眉をしかめた。


「凜は怖いの平気?」

正直、お化け屋敷は入ったことないし、テレビや映画は音声だけになるなら、怖いというより不気味だな、と感じはした。

お化けの恐怖より、日常生活の危険を感じるので精一杯だ。

第一、わたしにはお化けはいたとしても見えない。
その辺はあまり考えたことがなかった。


「うーん。どうかな」

「聞くやつも初めてだよね?」

「うん」

「まぁものは経験ってことで。ヘッドホンして座ってるだけで楽しめるから」


怪しい笑いとともに奏多が言う。